フィーチャリング|オーダーメイド家具の新しい作り方
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松の古木をつかった温かみのあるスツールを作りました。塗装はどこにおいても馴染む艶のない焦げ茶です。他にも欅、楢をつかったスツールもラインナップがあります。

※この商品は受注生産品なので、実際の商品と写真は異なります。

サイズ

座面:38cm×36cm、高さ:背もたれ後側47cm×前側40cm (※材料によって多少異なります。)

重さ

20kg (※材料によって多少異なります。)

築100年を超えるような古民家で長年の風雪に耐え、建物を支えてきた梁や柱。当時の大工や職人の手斧(ちょうな)の跡、丁寧な手刻みによる仕口、接手といった伝統工法、あるいは囲炉裏の煙に燻されて黒光りした表面や絶妙な曲がり具合など、無骨ながら力強い古木には同じ形がふたつとありません。そんな古木を使って今回新たに手がけたのが、1本の古木の自然な造形を生かした存在感抜群のスツールです。

 

古木の素材感を残しつつ、木材の収縮による割れと変形を抑えるためにあえて割れ目を入れておく「背割れ」もデザインとして活用したり、ホゾも利用したりと、バリエーション豊かなスツールができあがりました。いずれも座面はお尻の形にフィットするように彫り込まれているのが特徴です。

 

こうした試作を経て、第一号の製品として6脚のスツールとテーブルのセットが完成しました。今回はプロトタイプのなかでもオーソドックスな形のスツールに仕上がっています。重量も重厚感もあるため、持ち運ぶのではなく飲食店やホテルのロビーなどに設置されるイメージです。

 

 

 

 

 

古木スツールができるまで

(1)古木を切断

まずは1本の古木を50~55cmずつ切り出していきます。最終的には座面と底面を削ることで45cmほどの高さに仕上がる想定です。切り出しは当初、電気ノコギリを使っていましたが、加工された四角い柱のようにすんなりと切断できなかったことから、ノコギリに切り替えて丁寧に切り出したそう。なお、木材は木の根に近い部分を「元(もと)」、上のほうを「末(すえ)」とよび、柱として使う場合は山で生えていた状態と同様、「元」を下、「末」を上にします。今回のスツールも「元」を底面に、「末」を座面に使っていきます。

 

 

(2)クリーニング

切り出した古木を、まずはクリーニング。最初に水洗いをし、落ちない汚れはナイロンブラシやワイヤーブラシを使ったり、スクレイパーで削り落としたりして掃除をします。ひび割れの中は煤が入り込んでいるため、小さなワイヤーブラシで丁寧に掃除。大きなひび割れの場合は削り直して割れを広げ、内部をヤスリで綺麗に削ります。市販のものでは奥まで届かないため、道具もお手製だとか。この作業がかなりの重労働だそうです。

 

(3)側面を滑らかに

その後、スツールとして使うために手にトゲなどが刺さらないよう、ワイヤーブラシでトゲを削って磨くことで滑らかな手触りにします。当時の職人の手斧やノミの跡もささくれ立っていることが多いので、叩いたり削ったりして直し、樹皮が残っている部分は削ります。解体時についた傷もノミで削って荒っぽさも残しつつ補修し、素手で触れても安全な状態へと加工します。生えていた枝が折れて取れ、固まったヤニを掘る、こうした部分も直していきます。そして、ひびや割れ目の角も刺さらないよう、面をとって角を丸くします。ここまでの段階ですでに道具の消耗も激しく、かなりの時間も要します。1日でできる掃除は2脚ほど。煤で真っ黒になった古木を建材ではなく家具などの日常使いにするためには、意外と手間がかかるのです。

 

(4)底面をカット

それぞれの木材の高さを合わせて底面を水平にカット。そのままでは木の膨らみなどで狂いが生じてぐらついてしまうため、底面の中心部が凹むようにカーブにくり抜きます。これによって底面を縁だけにし、安定感を出すのです。

 

(5)座面の掘り出し

それでは、いよいよ座面の掘り出しです。目安となる48cmの高さに印をつけ、カービング(彫刻)用の道具を付けたディスクグラインダーで座面を削っていきます。ある程度削ったら、実際に座る高さの目安に印をつけ、腰かけてみながら深さや形を調整していきます。できるだけなめらかに削ったら、続いてサンダーで磨いて研ぎ上げ、最後にサンドペーパーによる手作業で滑らかに整えて完成です。

 

(6)塗装

側面を滑らかにしたことで古木の煤けた部分が剥がれてしまったため、家具などに使用する植物性の黒染めの塗料を使って側面を着色し直し、古い木材の色を再現できる植物性オイルで仕上げます。このオイルは体に無害ですし、酸素に触れると固まって樹脂化するため、染み込ませることで塗料もしっかり定着させつつ、木材を内部から保護できます。同時に表面には塗膜ができないため、本来の古木の質感と手触りは生かされます。

 

(5)面を取ってオイル塗装

座面と底面の角はあえてノミで荒々しく削って面を取り、持ち運びができるよう持ち手を掘り込みます。そして、これらの部分にはクリアの植物オイルを塗装してナチュラルに仕上げます。

 

(6)シリアルナンバー刻印

最後にレーザー刻印機でシリアルナンバーを刻印して完成です。

 

 

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